竹巳に何回起こされても起きない俺が



最近は、早起きできる。





















月曜日の、朝。

俺とが付き合ってはじめての朝。



何だかドキドキしてしまって、

いつもよりとんでもなく早く目が冷めてしまった。



『好き、』



屋上で春の匂いがする風に吹かれて、そう言ってくれた

先を越された、それだけを思った。



だって随分前から俺の心はに向かっていたから。



昨日は、人生で何十回目かの告白をされた。

昨日は、人生で初めての口づけを交わした。



そして今日は、人生初めてのお付き合い初日。

何をしようか?放課後、どこかに行こうか。



今まで溜めていた全部がこれからと一緒に実行出来ていくのかと思ったら、

心の中でくすぐったい感情が火照った。



彼女。

好きになった子が、今日から俺の彼女になるんだ。(正確には昨日の午後6時23分だ!)







テュルルルルルルルル…


そんな想像に浸っていたら、

突然枕もとにあった携帯がバイブとメロディーを一緒に飛ばした。



こんな朝っぱらから、誰だろう。

画面を見たら、もしかしなくてもの名前が書いてある。



見た瞬間に、俺らしくもなく心臓が跳ね上がった。

緊張、する…今度からだけ着信音を変えておこうと決意して、通話ボタンを押した。



「もっ、もしもし!?」

『誠二君?おはよう、だよ』



愛しい声が受話器から漏れ、思わず枕をぎゅっと抱きしめてしまった。



「どうしたの?何か用?」

『え?あ、えーと…別に何も用はないんだけどね…』



声が、聞きたくて。

そんな可愛い事を言われてしまったら、どう反応していいか俺にも分かんない。



「………」

『あ、ごめんね、迷惑だった?』

「そんな事あるわけないじゃん!」



そんな事、あるわけがない。

朝っぱらからこんな可愛い声が聞けて、いつもなら悪い目覚めがすっきりだ。



『ふふ、良かった。ね、明日からも電話していいかな』

「え?」

『朝。寝起きの悪い誠二君が早起きしてくれるように』



そういえば、話した事があったかもしれない。

まだトモダチだった頃に、俺寝起き悪いんだよねーて…

そんな事、覚えてなくてもいいのに。



「何か俺、カッコ悪くない?」

『そんな事ないってば。これも、彼女の特権でしょ?』



カノジョ。

ぽんっとの口から飛び出した単語に思わず体が反応して、

自然に頬が揺るんでにやけてしまう。



「じゃあ、お願いしよっかな」

『うん、そうしてよ』



あ、もう部活の時間じゃない?

そんな事を言われてはっと時計を見ると、

朝練にギリギリの時刻を針が指していた。



「本当だっ、もう行かなきゃ…」

『頑張ってね』

「もちろんっ、…あ、そうそう」



今日、放課後暇?

うん、とはにかんだ声色で返ってきた返事に、俺の今日の元気メーターはきっと100を越した。



『じゃあ、また後でね』



少し惜しみながらもプチッと切れた電話に、

意味もなく笑いかけてみる。



「…何やってんの誠二、気持ち悪い」



上のベッドからいつのまにか降りていた竹巳にそう声を掛けられて、はっと我に返る。



「何にも…あ、そうだ、明日からは起こしてくれなくていーよ、竹巳」

「そもそもそんな事頼まれた覚えはないんだけどね?」



着替えをすませて、ポケットの中で携帯をぎゅっと握って。



明日からの朝は、ずっと早起き出来る。

夜に充電しておくのを、忘れないようにしないとね。













4411HITキリリク、藤代夢で甘々です。
わあ、なんだかすばらしい出来となってしまいました…(汗)

甘いというよりも何だかほのぼのの気がしますけど、
これで勘弁してやってくださいませ。

桜綺様のみ、お持ち帰りも転載もお好きにどうぞです。
ではでは、失礼しました(奪取)


(c)愛渚 雛古 2004.04.27