二人の気持ちは、痛い程分かってる。
…私、体が二つあれば良かった。

自分の気持ちに気がついたのは、つい最近の事だった。
貴方へと繋がっていた、この心の線路。
気持ちはどうしようもなく波に乗って流れ、
意識するしかなかった。あの人を。
二人の気持ちに気付いたのは、そのすぐ後だった。
…好きになってた、三上を見ていたら。
三上の気持ちも私に向いてる事が分かった。
嬉しかったんだ、とてつもなく。
だけど。
三上から私に延びる線路の上に、
必然的に乗っている気持ちがあったんだ。
藤代の、想い。
自分の気持ちは、分かっていた。
三上の事が、言葉じゃ表せないくらい好きだって。
だけど、藤代の事だって好きで。
「好き」という言葉の質が違ったのは確かだけど。
友達として、藤代の事も大好きだったから。
傷つけたくなかった。
「先輩ー、三上先輩がいじめるんスよ!」
「まったく、毎日毎日…駄目じゃない、三上」
「るせーよ、お前には関係ねー」
ぷいっとそっぽを向く三上。
あ、拗ねた。
見ていたら、すぐ気付く三上のくせ。
拗ねると、目を逸らす。
私が、三上より藤代をかばったから。
そんな貴方の動作一つが、嬉しくて、愛しい。
全く、いじわるな運命に出逢った。
私が優柔不断なばかりに、二人は苦しむ。
知ってるんだ。
選ぶのも、選ばないのも酷だって。
ねえじゃあ、どうしたらいいの?
私、体も心も二つあればよかった。
そうしたら、二人ともに幸せをあげられたのに。
「先輩、ちょっといいスか」
「え、何?藤代」
「ちょっと、屋上…来てもらえません」
「…いい、けど」
放課後、藤代が私を呼び止めた。
ちらっと三上の方を向くと、一瞬目が合って。
そのまま反対を向いて何処かへ行ってしまった。
ああ、私、藤代と喋ってるのに。
どうして、三上の方を気にしてるんだろう。
「行こっか、屋上」
「はい」
いつもは笑顔が耐えないその顔に、神妙な表情が灯る。
…藤代。
きっと、今日で終わらせる気だね。
ごめんね、私が情けないから。
「綺麗だねー、夕焼け」
「…はい」
そんな、哀しそうに笑わないで。
藤代の事だって、大好きなんだから。
ただ、好きの種類が違って。
苦しいなら、好きか嫌いかのどっちかでいいのに。
恋とか、友情とか。
何種類も、いらなかった。
「…俺、先輩の事が、好き、です」
まっすぐな瞳。
この眼から涙が零れるかもしれないと思うと、切なくなった。
そうさしているのは、自分なのに。
「…先輩が、三上先輩を好きでも」
「………」
知っていた。藤代が、私の気持ちに気付いていることも。
想いが、絡まりすぎてて。
だから、つらかったんだ。
「先輩」
「……うん」
「先輩って呼んでも、いいスか?」
「…?いい、けど」
「やった!」
藤代の顔が、いつものように笑った。
どうして…?
「俺、先輩がつらそうにしてるの見るの、もう嫌なんスよ」
「………」
「最初は、二人が両思いでも、付き合わないんなら別にいいかと思って」
「………」
「だけど、やっぱり。俺、先輩の優しさに甘えてて」
「………」
「三上先輩と、幸せになって下さいね」
「……敬語、使わなくていいよ」
「?」
「藤代は、最高の友達、だから」
「…ありがと」
本当に、いい友達を持った。
ひとつ年上なのに、私の方が子供だったんだね。
「告白、してくる」
「………」
「藤代の気持ち、無駄にはしないから」
「……ね、俺の事も誠二って呼んでよ」
ニカッと人懐っこい笑みを浮かべ、そんな事を言った。
「…じゃ、また明日ね、誠二」
「バイバーイ」
屋上のドアを開ける。
きっと誠二は、これから涙を零す。だけど。
その涙、無意味なものにはしないから。
誠二も、私への気持ちなんか忘れて。
時間かけてでもゆっくり忘れて、幸せになって。
アンタ、いい男なんだから。
「…藤代、何だって?」
「居たの、三上」
「居て悪いかよ」
屋上からの階段を下りたら、そこに三上が居た。
不意打ちでドキッとする胸。
「告白…されたのか?」
「うん、まあ」
「…返事は?」
「知りたいの?」
今までの人生で一番、血の流れが速まる。
心臓が壊れるってくらい。
「三上が好きだからって」
答えは分かっているけど。
どうしてだか、ドキドキは止まない。
「知ってた、けどな」
「じゃあ聞かないでよ」
ここ数ヶ月の想い、
全部唇に預けて。
溶かして、いった。
「幸せに、してね」
「当たり前」
貴方と私と、優しいアイツの為に。

宝探しリク、三上と藤代で取り合い、です。
……取り合い…?
何だか違うような気がしてならないのですけど…お許しくださいませ(汗)
恋愛に鈍い誠二も好きですけど、たまにはこんなのもいいかなぁ…と。
三上はヘタレ度を少しアピールしてみました。
水萩様のみ、煮るも焼くもお好きにしてやってください。
素敵なリクをありがとうございました!
(c)愛渚 雛古 2004.04.04