ある日ふと気になった、
学校に1番早く来て、1番遅く帰るのって誰なのだろう、と
遅刻魔で早退魔な俺としては、どうやっても関係ない人なのだけれど、
一度気になったら、もう知りたくて堪らなくなった。
授業中にもかかわらず、俺はとなりの席の小西を小突く。


「なぁなぁ、小西」

「なんだよ結人、今授業中」

「んな、冷たいこと言うなって!んでさ、ちょっと気になったんだけど、学校に1番早く来る奴と遅く来る奴って、誰だか知ってるか?」


小西は、とうとつな俺の質問に、少しだけ眉を顰めて、
ボールペンをカチカチしながら(癖らしい!)しばらく俯いて、言った。


「あー、多分、どっちとも、じゃねぇの?」

「どっちも?!そ、それってすごくねぇ?!」

「わっ、馬鹿!お前うっせぇよ、睨まれただろ!」

「うお!悪い悪い」


思わず大声をあげてしまうくらいに、俺は驚いた。
自慢じゃないけど、学校1遅く来て、学校1早く帰っているであろう俺と、
正反対の奴がいたのだ。
すごい、と思う反面、ちょっとおかしいんじゃねーの、とか思っちゃっていた。


「んで、ってどんな奴?」

「・・お前知らねぇの、?」


小西は、授業を受けることを半ば諦めたかのようにして(悪いな、小西!)
”について話し始めた。


は、この学校の生徒会長だよ。んで、このクラス」


・・・・・、あぁ、どっかで名前聞いたことあると思ったら生徒会長か!
ってそんなことは置いといて、

クラスメイトだったのか!


「このクラス?」

「お前、キラキラしときながら最悪だな」


ちょっと小西の言っていることは分からなかったけど(キラキラって何だよ)
2年間同じクラスで過ごしておきながら、名前も知らないクラスメイトがいたことに俺はまたまた驚いた。


「どいつ?」


同じクラスというのだから、探す手間ははぶけた。
俺はクラスを見渡しながら、小西に聞いた。

「ん、」

小西は片手でボールペンをくるくるさせながら、
もうひとつの手で廊下側の後ろから3番目(前から3番目とも言う)
の席を指差した。

俺は、小西に人を指差しちゃいけねぇんだぜ、と言いながら
小西の指の先を目で追った。

そこには、シャーペンをくるくるさせながら(よく見たら、みんなくるくるしてやがる!)
あくびをする女の子の姿があった。


「可愛いじゃん!」

「おー、結構アイツ人気あるぜ」

「なんで俺今まで気がつかなかったかなー?」

「そりゃ、お前、サッカーしか見てねぇからだろ」


小西の言うことに、あぁ、そっか、と相槌をうちながら俺はサンを見やる。
にしても、そんな長い時間学校にいて、何やってんだろ。
そこまではいくら小西でも知らないだろう、と思い
俺は放課後、サンに直接聞いてみることにした。








チャイムが鳴り、HRを終え、俺は急いで鞄を取る(教科書なんて持って帰るわけねーじゃん!)
バッと、サンのほうを見ると、もう彼女の姿はない。

「な、なんで?!」

なら生徒会室だろ、」

俺がなにをしたいのか、分かっているらしい小西は、
今日も1日くるくるしまくってたボールペンを筆箱にしまいながら言った。

「さんきゅ!」

俺は小西に礼を言って、(授業潰しちゃったぶんも)
教室を出て、サンのいるであろう、生徒会室へ向かった。






生徒会室、と大きく書かれた木製の看板を見詰め、
俺は思いっきり、ノックをした。(ちょっとやりすぎたかも!)

「・・・はい、どうぞ」

そのノックが可笑しかったのか、少しだけ忍び笑いがした後、声がした。
俺は、サンってこんな声かぁ、なんて思いながら、
失礼しまーす、と言ってその大きなドアを開けた。


サンは、目の前の大きなソファに、少しだけ控えめに座っていた。
俺の顔を見たとたん、サンは目を見開いて、珍しいと呟いた。
俺はその言葉をきちんと耳に入れていて、たまにはな!と返して笑った。


「えーっと、お話しするのは初めてよね、若菜結人くん」

「そう!クラスメイトなのにな、」


今日まで知らなかったのだけれども、俺はちょっとだけ、しったかをした。


「あら、私のことクラスメイトって知っていたんだ、」


サンは少しだけ意地悪い笑みを浮かべて言ったので
俺は、慌てて言いなおした。


「嘘です、今日初めて知った!つーかサン意地悪だよなぁ」


少しも気取ろうとしない彼女の自然な物言いが気持ちよくて、
俺は嘘は止めよう、と本当のことを話した。


「まるぎこえなのよ、あなた達の会話」

「うっへぇ、英士にも負けないくらいの地獄耳じゃんか!」


俺とサンの席は少なくとも6メートルは離れていると言うのに、
小声(ちょっと大きいかな?)で話していた俺たちの会話が聞えていたというのだ。
俺は、とっさに英士のことが頭に浮かび、その名を口にしていた。


「お褒めの言葉ありがとう、その英士くんとやらによろしく。」


英士は、嫌味とか聞えてたらその何倍にもして、
静かな笑顔で、あれやこれと仕返しをしてくるのだが、
サンは、さらりと流してしまった。
(英士!これが大人の余裕ってやつなんだよ!)


「それで、いつもは真っ直ぐ帰ってしまう若菜くんが生徒会室になんのよう?」


サンはさっきまでの笑顔をすぱっとやめて、本題に入ろうと真剣な面持ちで俺を見る。
その切り替えの早さに俺は付いてゆくことは出来ず、ただ見詰めあう、という形になってしまった。


「あー・・・・」


1回失ったタイミングを取り戻すのは難しい。
俺はなかなか言うことが出来ず、そんな俺にサンは催促することなく、
お茶を飲みながら俺を見ている。
ぶっちゃけた話、女の子に見詰められたことって少ない俺にとっては、
こんな形でそうなってしまって、ドギマギしてしまう。
それでもやっとのことで言い出したことは、本来のものとは全く違うことだった。










「シャ、シャーペンくるくるすんのってどうやってやんの?!」







お、俺の阿呆!










いきなり場違いなことを言い出した俺に、
サンは、お茶を机に置いて、おなかを抱えたと思うと、肩を震わせた。


「・・・・・っぷ、・・・・あっはっは!!」


そして、大爆笑。






サンは、笑うことを我慢するのをやめて、ヒーヒー言うくらいまで笑い続けていた。
その様子に、俺までなんだかつられて笑ってしまい、なんともおかしな構図が出来上がった。


「あー、うん、あのくるくるーってやつね、」

「お、おう!」


ようやく落ち着いたかと思うと、サンは足元に置いていた鞄から筆箱を取り出し、
(筆箱に日本代表のキーホルダーが付いていたのも俺はちゃんと見ていた)
シャーペンを2本引っ張り出して、1本を、ほいっと言って俺に投げる。
俺はそれを受け取り、サンの手元を見ていた。




「こう、ねぇ、まぁくるくるくるくる回してんのよ、そーすりゃ出来る」





・・・なんとも大雑把な説明さんきゅーサン!













本当に聞きたかったのはそんなことじゃないのだけれど、


ほんのり赤く染まり出した空や、


豪快に笑うサンとか、その手元で上手に回るシャーペンを見ていたら、


なんだかどうでもよくなってきた。

















くるくるくるくる









まわるのは





シャーペンと





ほんのり芽生えた





僕の恋心



















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050605

若菜くん、もうすぐ誕生日おめでとー(!
そんなこんなで前祝若菜くんです(笑
むー、若菜くんを書いたのは初めてなのでちょっと若菜くんに負けずにドギマギ、

シャーペンくるくる!はやりませんでした?
私の学校ではめちゃくちゃはやりましたよ。
私もやろうとは思い、友達にやり方等聞いたんですけどね、
そうしたら、ああ帰って来たんですよ、コノ野郎、できるわけないじゃないですか!
それ以来くるくるは習得できずじまいに、
まぁ、いつかは出来るようになりたいなぁ、と思ってはいます。


さてさて、いないとは思いますが、この若菜くん夢、ふりーにしたいと思います。
もし、しょうがねぇな、持ってってやるよ、なんてお方がいらっしゃいましたら、
BBSのほうで一言いただければ幸いです。
や、別に報告はいいんですが、個人的にそっちのほうが嬉しいんで(!




ではでは、若菜くん本当にもうすぐ(!)誕生日おめでとう!
いつまでもその素直さを忘れないでください!





かたせ


※片瀬たすく様に頂きました!
 間違っても愛仁にこんな素敵な文は書けません。
 著作権は片瀬様にあります。パクり厳禁!(当り前です)

お礼の言葉

片瀬様の素敵サイトから、フリー夢を頂いてきました!
結人が可愛い!い、愛しい…
菜村もシャーペンくるくる、いまだに出来ません(笑)
片瀬さま、素敵な夢を本当にありがとうございました!
(そして結人くん、ちょっと早いけど誕生日おめでとう!)

菜村 愛仁