「3.1415926535…だー、もう!」
「…もう諦めろって…」

それは、夏休みに入ってすぐの月曜日の午後。
サッカー部が久しぶりに午前中だけで練習を終えて、
マネージャーが三上の部屋に遊びに来ていたのだ。
ちなみに渋沢は、監督とミーティング何とかで忙しい様子。
とにかく、松葉寮の個室に二人っきり。
「ねえねえ、そういえば三上。本当に円周率覚えてるの?」
「あ?まあ、50桁だけな…」
「すっごー、言ってみて!」
ここでムードもへったくれもないのが、二人らしいといえばそうなのだが。
三上とが両想いだなんて、サッカー部公認の事実なのに、
気付いていないのは本人同士だけだというのは中々じれったい。
事実、個室に篭っている二人の隣の部屋では、
藤代と笠井が聞き耳を立てているのだが、まあそんなことは知るよしもない。
「は、今ここで?」
「当り前じゃない、いつどこで言うつもり?」
「…3.1415926535 8979323846 2643383279 5028841971 6939937510」
面倒くせー、と言いつつも、早口でスラスラ捲くし立てた三上に、
は心底感動した様子でくりくりした目を一層開いた。
「すっごーい!!」
「そりゃどうも。次は確か、5820、だったっけな…」
可愛いヤツ、と内心思いながらも
そんなことは塵にも見せないで三上が言う。
負けず嫌いのに火をつけたことに気付かないで。
「あたしも覚えたい…!よし、今すぐ覚える」
「…は?」
「ほら三上、3.14の後は?」
「…159265358979...」
「もっとゆっくりー!」
「…先輩、円周率を叫んでる…ね」
「円周率!?」
隣の部屋で笠井がボソッと呟き、
それまで人参スナックと睨めっこをしていた藤代も壁に耳を傾けた。
「趣味まで三上先輩と一緒になっちゃったって事?」
「…さあ…負けず嫌いの先輩が、対抗しようとしてるんじゃない?」
お察しの通りで、笠井くん。
「何やってんのさ先輩ー…今日も収穫なし、かな」
「どうだろうね、三上先輩次第じゃない?」
俺は、何となく今日は上手くいきそうな気がするんだけどね。
くすくす笑みながらそういう笠井に藤代は、
はあっと大げさにため息をついてからもう一度壁に耳を当てた。
そこで、冒頭に戻る。
「3.1415926535 897…あー、わかんない!」
「…もう諦めろって言ってんだろ…」
必死で覚えようとするに、
呆れながらも協力している三上。
「だって三上に負けたままなんて悔しい…」
「どういう意味だよそれ」
とうとう諦めたのか、は普段三上が寝ているであろうベッドにダイブした。
三上がくくっと笑って、その隣にポンッと座る。
「こんな意味のないものに記憶力を使うのの気がしれないわ」
「あ?…気が知れない、ねえ…」
嫌味のつもりで言ったのにぴくりともしないで遠くを見つめる三上に、
何となく切なくなってはガバッと跳ね起きた。
「ちょっと、お腹すいた!三上、何か持ってな…」
ちゅ
ベッドの上で急に跳ね起きたから、
三上の体制が崩れたことは認めよう。
ただ、それにしても偶然キスするほど間は狭くなくて。
「……!?」
「俺の気、」
分かったかよ?
ニッ、と眼の前の男が笑った。
「…あ、ちょっといいムードっぽい」
「ほんと!」
諦めてジャ○プを読んでいた藤代に、
懲りずにずっと聞き耳を立てていた笠井が言った。
「…俺の予想では、今多分キスした」
「え、嘘!?三上先輩、手、早っ」
「そりゃあ、エロいからね」
まあ、上手く行ったみたいじゃない?
くすっと笑って、笠井は耳を離した。
「…ていうか、円周率の話はどこへ!?」
「知らない」
「あー、とうとう先輩は三上先輩のものかー」
「何か嬉しいような複雑な気分だね」
そう言いつつ、野次馬二人は退散した。
「…な、まだ円周率覚えるかよ?」
「知らない!どうでもいいわそんなこと…」
「言ってること矛盾しすぎ」
真っ赤になって慌てるに、
涼しい顔をしている三上。
「ていうか、なんでキ…」
「お前が好きだからに決まってんだろ」
「…っ!」
こんな強引な告白は、始めて。
そう思いつつも嬉しさが隠せない自分がいる。
「…はー、何か悔しい…」
「何でだよ?」
「全部、負けっぱなし」
そう、意地っぱりで、負けず嫌いで。
「…もういい。あんたの気持ち分かるのに精一杯で、円周率なんかどうでもいいわ」
「ふーん?」
ニヤッと笑うこの俺様に、
あたしが勝てる日は来ないのかもしれない。
「…三上」
「何?」
「大ッ嫌い」
「酷ぇ言われよう」
それは、夏休みに入ってすぐの月曜日の午後。
いつの間にか二人で、見詰め合っていて。
「だけど、愛してる」
そう言った瞬間、もう一度唇を重ねあって。
「俺もだぜ」
負けず嫌いで意地っ張り。
そんな二人の∞の恋。

はわわわ…何かわけわかめなものに…
何が言いたいんだって話です。すいませ…!
9109HITキリリク、三上夢でした。
月白様のみ好きにしてやってくださいませ…返品可ですorz
もうノーコメントで。逃げます。
(c)愛渚 雛古 2005.08.10
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