『ねえ俺ら、3人ともに惚れちゃったみたいなんだよね』
そんな事を結人君に告げられたのは、あの日の夕暮れだった。
後ろに英士君と一馬君の二人を並べて。
ありえない、それしか思えなかった。
その現実は残酷すぎて…そして何よりも、嬉しすぎた。

はじめて3人に会ったのは、ちょうど一年前の事だったと思う。
お母さんに進められて、ロッサのマネージャーになった頃。
あのときあたしはいじめに合ってて、これといった友達も居なく独りぽっちだったから、
仲の良い3人を見てとてつもなく羨ましかったのを覚えている。
そして、ロッサの中ではじめて話しかけてきてくれたのは、
他の誰でもない結人君だった。
『ちゃんって言うんだ。可愛いねー』
ちょっと馴れ馴れしかった気もするけど、そんな事はどうでも良くて、
あたしなんかと喋ってくれる人間がまだ居たことに凄く凄く嬉しさを感じた。
『よろしく、ね』
恐る恐るつぶやいてみた言葉をニッコリと受けとめてくれた結人君が、
すごく輝いてみえて。
太陽みたいな子だなって思った。
あたしに元気をくれた。
3人の中で次に喋ったのは、確か英士君だったと思う。
『何してるの、こんな暗い所で』
ポチン、と着替室の電気を灯して、英士君が話しかけてきた。
みんな帰ってしまったと思ってた放課後、ロッカーの隅っこで一人泣いて居た時だった。
『…ごめんね、無神経だった』
次にそう言って、コトン、と静かに椅子に座った。
『…帰ってなかった、の?』
『ちょっと忘れ物しちゃってね』
『帰らないの…?』
『俺で良かったら、何でも聞くよ』
『…っ…』
その言葉で、まだ話した事もなかった英士君に全てをぶちまけてしまったんだ。
いじめられてること、一人で寂しかったこと。
そうしたら、優しく頭を撫でてくれて、こんな事を言われた。
『ここには、の居場所があるでしょ?一人で泣いたりしないで』
って呼んでいいなんて言った覚えは無かったけど、また涙が溢れた。
月みたいな人だと思った。
あたしを暖かい光で包んでくれた。
一馬君と喋ったのは、かなり後の方だったと思う。
練習後にボールを片付けていたときに、最後までリフティングをしてたから。
生き生きと白黒のそれを蹴り続ける彼を止める気がしなくて、ずっと見ていた。
そしたら、ゴメン夢中になってて、なんて言うから、
サッカー好きなんだねって言ってみたんだ。
『好きじゃなかったらこんなに頑張れないだろ?』
きょとんとして、そう言われた。
そう真剣に言う一馬君を見てたら、何だか笑えてしまった。
久しぶりの、自然な笑顔だった。
笑ったあたしに『な、なんだよ』って顔を真っ赤にして言う彼をみて、
ちょっぴりヘタレなんだなとか思ったりして…
それからも良くからかって遊んだりするようになってた。
近くに居て素直に笑顔が溢れる存在だった。
星みたいな人だな、と思った。
あたしに明るさと勇気をくれた。
そんな3人が、今眼の前に立っていて。
3人ともがあたしの事を好きだと言う。
まっすぐな結人君の告白。
当然の様に喋る英士君の告白。
一生懸命な一馬君の告白。
嬉しすぎて、残酷すぎて、あたしには抱えきれなかった。
3人とも、ダイスキなのに…この中から選ばなくちゃいけないの?
こんなの、選ぶのも選ばないのも残酷じゃない…
『返事はゆっくりでいいから』
そう言った英士君の瞳も、
結人君や一馬君の瞳も、
吸い込まれそうなくらい綺麗で透き通っていて、そして力強かった。
その日の帰り道、土手道を一人で歩きながら考えた。
まだ明るい夕日と、もう出てきた三日月と、光る一番星を見上げながら。
本当は、もう心なんて決まっていた。
いつのまにかあの人に向かっている自分に気付いていたから。
隅に転がっている小さなあたしのような石ッころを蹴って、届けるように唄を歌う。
元気と優しさと明るさと勇気を持って。
きっと明日はあたしの人生の第一回の曲がり角になるだろう。
未来を見つめて、唄を歌う。
この唄が愛が永遠となることを祈って。
あたしなんか忘れて、もっといい恋をしてください。
そしてこれからもよろしくね、あたしで良いと言ってくれるんなら。
空に浮かぶそれに向かって、そっと唄に微笑みを乗せた。

3737キリリク、アンダー三人組でした…!
遅くなって申し訳ありません桜綺様。そして美容室はどこへいったのやら(汗)
いや、本当は書いたんですよ。だけどどうしようもない代物になってしまったもので…
こっちで勘弁してやってくださいな。素敵なリクをありがとうございました!
ラスト、ヒロインちゃんの思い人は誰だったんでしょう?
一応誰でも当てはまるように頑張ったつもりなんですけど…
皆様のご想像にお任せいたします。
では、失礼しました(逃)
(c)愛渚 雛古 2004.04.25