ここは美容院「close cropped」
今日もカリスマ美容師3人がお届けします

カランカラン…
少し赴きのある独特の音が響いて、お客が来た事を知らせる。
店の約束事1、全員でそのお客に挨拶をする。
「「いらっしゃいませー」」
「おっすー」
「「!?」」
「えへへー、来ちゃったー」
やってきたのは、(20歳)だった。
中学高校の同級生で…今は俺の彼女という座についているんだけど。
「…、来ちゃだめって言ったでしょ?」
ため息交じりにそう注意してみても、彼女に反省の色なんて更々見えない。
「別にいいじゃんー、英士のお仕事姿を見に来たのー」
「えー、俺は!?」
「結人になんか興味ないもんね」
「酷っ!!」
ほら、また悪い虫がつく…いやむしろ犬って所?
見ないふりをしてあそこでちらちらを見てるヘタレも居るし…
何で俺がに来ないでって言ってるか、分かってないでしょ。
「…で、カットするの?」
「うん、シャンプーもよろしくー」
「分かった、俺がやってあげる」
一馬は今他のお客さん(確かさんだっけ)をカット中だし、
結人はさっき帰っていった人の後片付けをしている。
俺がやるのが、当然の流れでしょ?
「英士ー俺にやらせてよー」
「だめ、結人はまだ掃除し終わってないでしょ」
「英士早くー」
「ああもう、勝手に動かしちゃだめだって」
「だって足で踏むと動くなんて凄くない?美容院か歯医者だけだよこんなの!」
笑顔でそんな事を真剣に語って。
本当に20歳?天然じゃなきゃとてつもなく策士。
「分かったから。それでどのくらいにします、お嬢様」
「うふふー、えっとね、肩くらいかなー…あと、すいて?」
「髪の量多いからね」
「そうなんだよねー、本当どんどん増えるんだもん」
「前髪は?」
「おまかせしますー」
「じゃあ、最初にシャンプーするから向こうに座って」
結人と一馬の視線に囲まれながら、シャワーの所に移動する。
そんなに見なくたって…
もう、いいかげん諦めてくれないのかな、こっちも辛いんだよ?
「うわ、倒れた、電動!!」
「…ちょっと静かにしてくれない」
「ごめんなさーい」
タオルを棚から引っ張り出して、の首に掛ける。
もう一枚、今度はたたんでから顔に乗せる…
「あ、駄目駄目。英士そのタオルなしー」
「え?」
「だって英士のお仕事の顔見てたいんだもん」
「………」
そんな事言われてどうしようもなく、たたんだタオルはに持たせる。
それから、シャワーを出して湯加減を確かめて。
サラッと髪に手を通すと、のシャンプーの匂いが広がる。
髪質のいい髪の毛は、スルッと手から滑り落ちる。
ザーー…
ゆっくり水に馴染ませて、
俺がもっと綺麗にしてあげられるように。
「湯加減大丈夫?」
「…英士、ちゃんとお仕事の口調で言ってよ。あたしだってお客さんなんだからね」
「………お湯加減は平気でしょうか?」
「うふふ、気持ちいよ」
シャンプー、シャワー、リンス…
普段やり慣れているはずの行動も、どこかぎこちなくなってくる。
に触れているから。
に、見られているから。
「英士、何かカッコいいね」
「……ありがと……でしょ」
「あはは、言葉遣いが可笑しくなってるよ?」
柄にもなくものすごく緊張してしまった。
笑いながら俺を見つめている彼女がすごく愛しくて。
「…!ちょ…英士!」
「大丈夫、誰も見てなかったから」
一瞬だけ、口づけを落とした。
一馬と結人がばっちり見ていた事は内緒にして。
「はい、拭くよ」
「あー、やっぱり美容師さんは上手だねー」
「いつも隅々まで洗ってあげてるじゃない」
「……ばか」
次はカットでございます。
サクッサクッ…
リズムよくの綺麗な髪が床に散らばって行く。
勿体無い…だけどこれが俺の仕事で、
鏡に映るの笑顔を見ていたらそんな事も忘れる。
「ねえ英士、俺にもやらせてよー」
「駄目」
「けちー」
だけは、結人にも一馬にも譲らない。
本当は落ちていく髪の毛も全部持って返りたいくらい。
狂うしいほど、好きなんだ。
「英士、また来てもいい?」
「もう駄目」
「だってまた見たいんだもん」
「…だったら、今度は家で切ってあげるから」
「わーい」
もちろん、いつものお客さんにだってそれなりに気を使ってはさみを下ろしている。
だけど、それの倍は気を付けて、
愛しい彼女の髪の毛に指を通す。
「なんか、くすぐったいね?」
「どうして?」
「英士のお仕事姿が何か違ったから」
「どういう意味…」
「あんな風に甘えてくるの、あたしにだけなんだなって思って」
……
「英士、そんな事してんの!?うわー」
「………」
「や、違…駄目でしょ、そんな事言っちゃ!」
結人のからかい口調、一馬の非難に似た目。
「って事は本当なんだ?、英士どんな風なのさー」
「えっとね、こうや…」
「っ!!」
お客さんだって居るのに。
あー…クールビューティー郭英士は今日でお終いかな…
「…はい、終わったから。とっとと帰らないと。ね?」
「えーでもまだもっと居たい…」
「また後で電話するから、それでいいでしょ?」
「はーい…あ、お金…」
「そんなの別にいいから!」
とことこと、可愛らしく歩いてが退散していった。
後姿も愛しい…なんて考えてる場合じゃないでしょ。
「え・い・し・くん。どんな風にに甘えるのか詳しーく教えてくれないかな?」
「…俺も知りたいんだけど」
ああもう結人…それに一馬も、が居なくなったとたん口開いて…
「いや」
「ーあははーうふふー」
「……結人」
「俺、こんな慌ててる英士初めてみたかも…」
一馬、都合よすぎでしょ…
結人、調子乗りすぎでしょ…
「郭さんも彼女の前だと変わるんですねー」
順番待ちしてた近所のおばさんまで話し掛けてくる。
もう…知らない…
彼女のご登場で、美容院「close cropped」、かなり荒れたご様子です。

…何これ…(滝汗)ほんまに意味不明やん。いやあ助けて!!
ほんとはキリリクになる予定でしたけど撤去。
何か英士じゃないし。でしょでしょ煩いし…
ギャグなのかほのぼのなのか微糖なのか中途半端すぎじゃい!(泣)
もう知らないのはこっちです。逃げます(脱走)
ちなみに美容院「close cropped」の意味は、「刈り上げ」なんですよ…(笑ってる場合じゃねえ)
(c)愛渚 雛古 2004.04.25